平成14年12月7日 京都新聞

記事021207京都新聞 2002(平成14年)12月07日掲載記事 転載

現役の神職で活躍 私も負けない
左京 85歳・田中耕一さん


ノーベル化学賞の田中耕一さんと同姓同名の85歳の男性が、京都市左京区の神社で現役の神職として活躍している。商社の社長を経て、70歳を目前に神職に転進した異例の経歴を持ち、ノーベル賞の田中さんに負けず劣らずの英語力で外国人観光客を案内することもある。10日のノーベル賞授賞式を前に、地元で話題になっている。

左京区一乗寺の八大神社で神職を務める田中耕一さん=北区小山=。大阪・船場の生まれで、戦前に入社した商社で世界各国を巡り歩いて、語学力を身に付けた。社長まで務めたが、「晩年は俗世間から離れた暮らしを」と考え、68歳で神職講習に挑んだ。

合格後は、八大神社の神職として竹内紀雄宮司(62)を支え、神事に携わっている。この春に心臓病で手術を受けたが、すっかり回復し、秋の観光シーズンには外国人のガイド役を積極的に買って出て、ユーモアたっぷりに地元の名所を案内した。神社の氏子や地元の人たちにも「名物神職」として親しまれている。

田中さんは、島津製作所の田中さんのノーベル賞受賞について「発表されて以降、間違え電話が次々とかかってきて、ちょっと困った」と苦笑いしつつ、「同姓同名の人間として誇り。あの人は素晴らしい英語力を持っているのに謙そんし、控えめでつつましい。現代の日本人に少なくなった人柄の良さを感じる。私も負けないように、内面をもっと磨きたい」と、きっぱり打ち明ける。

氏子の西村正久さん(68)は「気さくな人柄もそっくり。高齢で頑張っておられる姿をみると、尊敬する。神社や地元に貢献されているのは間違いなく、地域のノーベル賞をあげたい気持ちです」と話している。

写真=85歳の今も、さっそうと神事をこなす田中耕一さん (京都市左京区・八大神社)